やあ、ひさしぶりだね!
えっ?どこから声がするのかって?
ここだよここ!少し下を見てご覧……
そう!ぼくだよ!しま一番のとんがった木だった切りかぶさ。
――というのも、ちょっと違うんだけどね。
よぉくみてごらん、ほら、ほら!そこの先っちょの方!
そうさ!本当のぼくは、切りかぶから新しくはえてきた若枝なんだ!
ちょうどもう一年前だね。あのときはびっくりしたよ。
とつぜん人間たちがやってきて、ぼくのことを切りたおすんだもの。もうだめだって思ったよ。
それでね、実際切りたおされてしばらくは気を失ってたんだ。
でも、次に気づいたとき、ぼくは新芽になってたんだ!
長い間はりめぐらしてきた根っこのおかげで、たくさん栄養をすって、もう一度生まれることができたんだよ!
よかったぁ……
切りたおされたことをおこってないかって?
うーん……ぜんぜんおこってないわけじゃないけど、そんなには気にしてないよ。
ぼくは見てきたもの、人間たちは木を使っていろんなものを作るんだ。おうちや、道具や、楽器をね。
それは、すこしワクワクもしてるんだ。切りたおされたぼくが何になったかってね。
自分で言うのもなんだけど、ぼくはりっぱなりっぱな木だったから、きっと大きなたてものになったと思うんだ。
いつになるかわからないけど、また前みたいに背を高くのばして、前のぼくがどうなったか見るのが、今のもくひょうさ!
あっ!えっと、それとね。せっかくだから、君にはとっておきを見せてあげるね。
うーん、うーんと……えいっ!
\(木の実飾り)/
すごいでしょ!こんなにまだまだ小さいのに、実をつけられたんだ!
それもこれも、さっき言った根っこのおかげだね。
なんたってぼくはしま一番のとんがった木だった切り株だから、根っこきっとしま一番さ!
今はまだ一つしかつけられないけれど、来年にはきっともっとたくさん実らせることができるはずさ!
おう、ことしの飾りツリーはどうすッペなあ!?
去年みたいのは無理だから、ふつうのでいいっしょ
そらそうか、そうだそうだ。だったら、普通のとんがった木に普通の飾り付けすッペ
じゃ、二人じゃ木はキツいから、今日は飾り付け探しっしょ。どっかにいい飾りちゃんはいないかー?
んー?おっ!?あれなんかちょうどいいッペ?あの、
赤いやつ
らんらん♪しゃんしゃん♪しゃららーん♪ふふっ、なんか楽しくて歌いたくなっちゃうね。
木の実ひとつでこんなにうれしいのはいついらいだろ。
切られちゃったからこそ気づいた楽しみだね。背が低くなるのも、あんがい悪くな……
ボキイッ!!!!
……
……
……
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